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プレス機械とは【特徴や種類をわかりやすく解説】
この記事では、プレス機械の特徴や種類を解説しています。
◆プレス機械ってどんなことに使われてるの?
◆プレス機械の特徴や種類はどんなものがあるの?
◆プレス機械の仕様、能力はどこに注目すればいいの?
そんなプレス機械についての疑問にできるだけわかりやすく解説していますので、
プレス機械にどんな種類や特徴があるのか知りたい方はご覧ください。
プレス機械とは
出典:コマツ産機
薄い板金素材(ワーク)に上から下方向に強い圧力を加え、機械に装着した金型の形状に変形させたり型抜きしたりさせることができる機械で、板金機械とも呼ばれています。
このプレス機械で加圧して金属を変形させる加工を「プレス加工」といいます。
プレス機械は、アルミやステンレスといった薄い板金素材を1回の加工で金型の形状に変形できるといったメリットから多くの工場で使用されている板金機械です。
プレス機械には加工の動力源、加工用途によって種類がわかれています。
また、プレス機械の金型にもたくさんの種類があり、金型の形状によって抜き・絞り・かしめ・順送・単発など用途によって使い分けます。
■プレス機械に装着した金型を上下させ圧力を加えて金属を変形させる機械
■加工の動力源、加工用途によって種類がわかれている
■プレス機械には大量かつ安価・短時間で製品が量産ができるというメリットがある
プレス機械の種類
前述のとおり、プレス機械は加圧する動力源と機械の形状によって種類が分かれています。
プレス機械の種類は大きく分けて「機械式プレス」「油圧式プレス」「人力(手動)プレス」の3つ。
これさえ押さえておけばプレス機械の種類についてはOKなので、順番に見ていきましょう。
【プレス機械の種類は「動力源」と「形状」による違いで分けられる】
◆機械式プレス→エアプレス等の電機式・空圧式のメカプレス
◆油圧式プレス→油圧シリンダーでスライドが上下するプレス
◆人力プレス→ポンスやエキセンプレスなどの手動で駆動するプレス
機械式(メカ式)プレスとは
エアクラッチ式メカプレスとは
出典:アマダ
機械式の動力源でスライドを上下させるプレス機械で、メカ式プレスとも呼びます。
代表的なのがクランク式のメカプレスで、モーターでフライホイルを回転させ押しボタンなどでクラッチを入れるとクランクにパワーが伝達され、コネクティングロッドによってプレス機械のスライドが上下運動されます。
このクランク式の中でも圧縮した空気を流して動力にする「エアクラッチ式」が現在主流で、
国内で一番売れていて多くの工場で使用されているのがこのタイプのメカ式のプレス機械です。
ピンクラッチプレスとは
動力源は上記の機械式(メカ式)のプレスですが、駆動部分のクラッチの構造がピン型になっているものを「ピンクラッチプレス」といいます。
俗称として「ピンクラ」と呼ばれたりします。
メカ式プレスの中でも単純な構造で、現在は主要な国内メーカーでは生産しておらず、
中古機械市場にはたまに出回っている程度です。
油圧式プレスとは
油圧式プレス
出典:富士コントロールズ
油圧式の動力源でスライドを上下するのが油圧式プレスです。
モーターで油圧ポンプを作動させ、圧力を持った油を油圧シリンダに送りプレス加工をする機械のことで、主に深絞り加工やベアリングなどの圧入加工の用途で使われています。
油圧式プレスの最大の特徴は、ストロークの長さや加工速度、加圧力を自由に調整できることです。
人力(手動)プレスとは
ハンドプレス
出典:レザーダイレクト
人力の動力源で加工するプレス機械です。
足踏みペダルで加圧する蹴飛ばしプレスや、手で押すタイプのハンドプレスなどがあります。
こちらもピンクラッチプレスと同様、エア式のクランクプレス等に取って代わられてしまい、現在国内メーカーで販売はされていません。
下町の町工場などではハトメホックのかしめ加工や簡単なつぶし加工などの用途で使用しているところもあります。
形状・用途でのプレス機械の種類
プレス機械の種類は先ほどの加工をする際の動力源でも分けられますが、
形状によっても特徴がわけられます。
またプレス機械の能力(加圧トン数)によっても形が違ってくるため、押さえておくべきポイントになります。
C型プレスとは
横から見たフレームの構造が「C型」になっているプレス機械です。
プレス機械の作業スペース(Cの口開きの部分)から金型をセットでき、作業性に優れているため人気です。
しかし、プレス機械に作業者の手が入りやすいため、加工時の事故やケガには注意が必要です。
C型プレスを安全に使用するには「光線式安全機」が必須です。
もうひとつの注意点として、C型プレスの形状は負荷がかかり過ぎる無理な加工をしていると
Cの部分がだんだん開いてしまい経年劣化していきます。
口開きが大きくなってしまうと加工精度が落ちるため、C型プレスは特に能力値内での安全な加工が重要です。
また、C型プレスのサイズは大きくて250トンクラスまでです。
それ以上の加圧能力を持つプレス機械は、次に解説する「門型プレス」という形状になります。
出典:アマダ
C型プレス主な取り扱いメーカー
アマダ、コマツ産機、ナガオエンジニアリング
門型プレスとは
プレス本体を4本の柱で支えているフレームの機械が門型プレスです。
別名「ストレートサイドプレス」とも呼ばれています。
門型プレスの特徴は剛性が強い点です。
250トン以上の加圧能力のプレス機械は形状が門型プレスになります。
C型プレスと比較するとフレームが両サイドにあるため金型交換時など、作業の取り回しが効きにくい面もあります。
出典:アマダ
トランスファプレスとは
送り装置とセットで使用する連続多工程のプレスライン加工で使用される機械式のプレス機械です。
この形状は別名「高速プレス」とも呼ばれています。
プレス機械の形は基本的に門型が主流で、回転数がふつうのプレスよりも速く、高速で連続加工できるメリットがあります。
フィーダー(送り装置)という供給機械で材料が送られ、高速で加工しながら次の工程に供給するプレスライン加工に最適です。
出典:山田ドビー
サーボプレスとは
見た目は通常のC型プレスに似ているが、サーボモーターを採用して回転数をNC制御できるプレスが「サーボプレス」です。
また、通常のクランクプレスの動作だけでなく、振り子モーションやナックルモーションなど加工素材に合わせたプレス加工動作を任意に選択できるため、生産性向上・加工精度の向上に貢献します。
出典:アマダ
プレス機械の特徴まとめ
今回は板金加工に欠かせない「プレス機械」について種類や特徴の違いを解説しました。
おさらいになりますが、プレス機械はプレス機械に装着した金型を上下させ圧力を加えて金属を変形させる機械のことです。
さまざまな種類がありその動力源・機械形状によってプレスの種類が分かれます。
大きな特徴として、プレス機械には大量かつ安価・短時間で製品が量産ができるというメリットがあり、現在多くの板金加工現場で導入され使用されています。
用途に合わせて能力や形状を選定すると製造現場で活躍してくれることでしょう。