今回は樹脂加工と言えばこの加工方法と言っても良い「射出成型」についてその種類や特徴をまとめました。
そもそも射出成型とはどんな加工方法なのか。
射出成型にはどんな種類があるのか。
それぞれの特徴について記載していきます。
コンテンツ
射出成型加工とは
射出成型とは、樹脂(プラスチック)素材の形状を変えて製品を製造する加工方法で、
加熱溶融させたプラスチックに圧力をかけて、金型内に流し込み成形する加工方法です。
射出成型は別名「インジェクション成型」とも呼ばれるこの加工、
身近なモノではスマートフォンケース、ハサミやドライバーの取っ手、大きなものでは洗濯機の側など様々な樹脂製品として出回っています。
射出成型の手順6ステップ
射出成型は以下の6つの手順で加工します
⑴ペレットと呼ばれるプラスチックの原料素材を射出成型機のホッパー部分へ投入します
⑵投入したペレットが加熱されたシリンダーを通過するときに、熱で溶解・軟化します
⑶熱と押し出し機構の圧力で液状化したペレットが金型の中に射出されます
⑷金型内で圧力を保って形を定着させます
⑸冷却もしくは硬化によりペレットが固まります
⑹固まったら金型から取り出し(エジェクトピンで押し出すのが主流)完成です
そんな樹脂を成形する射出成型(インジェクション)加工ですが、
以下の動画が一番わかりやすいので載せておきます。
㈱関東製作所様のYoutube動画です。
射出成型加工のメリット
射出成型とはどんなものなのかがわかったところで、
この加工方法にはどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
■品質
他の樹脂加工方法と比較して、不良発生率が少ないと言われています
■仕上げ加工が少なくて済む
成型後に繋がっている部分を切るだけで製品が完成します
色付けは、あとから塗装するのではなく、色付きのペレットで着色ができるのもメリットの一つです
■複雑な形状も成形可能
樹脂を軟化させて流し込むため、金型の制約が少ないので複雑形状にも対応できるメリットがあります
■少量生産も無駄なく対応が可能
比較的生産量の制限はない加工なので、小ロット加工から量産まで幅広く受注している企業も多いです
■無人化・省人化しやすい
昨今の人手不足によって加工設備の省人化が進んでいます
射出成型は自動化しやすいため、コストカットの面でもメリットがあります
まとめると、金型さえ先にカチッと作成してしまえば後が楽といった特徴があります。
射出成型加工の種類
ここからは射出成型の種類を解説していきます。
一言で射出成型と言っても、その加工の特徴によって大きく6つに分けることができます。
低圧成形
射出成型時に金型内の圧力を低く保持して行うのが「低圧成形」です。
高圧力での射出成型だと生じやすいバリが少ないのが特徴です。
射出成型をする機械は射出成型機と呼ばれていますが、低圧での加工は比較的小型の機械で対応可能です。
電子機器部品等の成形によく用いられる加工法で、細かな圧力調整が求められます。
射出圧縮成形
射出成型×圧縮成形のハイブリッドな成型方法です。
樹脂を溶かして注入し、型締めの流れです。この時に金型を完全に閉じるのが特徴です。
金型内部の圧力を一定に保ち成形するため精度が高いのがメリットで、レンズなどに用いられます。
ガスアシスト射出成型
樹脂を溶かして金型内部に射出するまでは同じですが、
射出した後に不活性ガスを注入するのが特徴です。
二色成形
二色成形とは、簡単に言うと二つの樹脂を組み合わせて製品を製造する射出成型の種類です。
別々の金型を用意する必要が無く、工期を抑えられるメリットがあります。
反応射出成型
1つの金型内に複数の低分子、低濃度の樹脂を射出する方法です。
金型の内部でそれぞれの化学反応が起き、個体になります。
こちらの成型方法は圧力が低く抑えられるため、樹脂の金型を使用することができます。
金属製の金型に比べて、比較的金型のコストを抑えられるのがメリットです。
射出発泡成型
射出発泡成形とは、発泡性(泡立つ性質)を持った樹脂を金型内に射出することで、気泡構造を持った個体を成形する方法です。
こちらもコストダウンが見込める成型方法です。
まとめ
今回は射出成型の種類や特徴、そのメリットについてまとめてみました。
それぞれ充填する樹脂の種類の違いや、いくつかの樹脂を混ぜたり、完成する個体が違ったりといった部分で呼び名も変わってきます。
また、射出成型の種類によって使用する金型が変わることも分かって頂け多と思います。