この記事ではパナソニック溶接ロボットのシリーズ別の特徴、導入のメリットやデメリットについてできる限りわかりやすく書いていきます。
各メーカーのパンフレットやカタログって仰々しい専門用語が多くて「使ったことないけど検討してみたい人」にとってわかりずらいんですよね。
なので今回はわかりにくいポイントを噛み砕いて解説していきますので、ご安心ください。今後導入を予定されている生産現場の社長様や実際に使用している現場作業員の方は参考にしてみてください。
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パナソニック溶接ロボットのラインナップ
溶接ロボットといえばパナソニックが真っ先に思い浮かぶひとも多いんじゃないでしょうか。
ダイヘンと並ぶ知名度で多くの製造現場でパナソニックの溶接ロボットが導入されています。
パナソニック溶接ロボットのラインナップは大きく分けて3つあります。
今回はアーク溶接ロボット2種類とレーザー溶接ロボット1種類を順番に特徴やメリットを確認していきましょう。
⑴アーク溶接ロボット TS/TM/TLシリーズ(GⅢ)
出典:パナソニック
・最も一般的でスタンダードな溶接ロボット
・フルデジタル溶接電源と組み合わせて使う
・6軸独立関節型
・用途に合わせてマニピュレータを選択可能
✔TS/TM/TLシリーズ(GⅢ)は溶接ロボットとは別置きで溶接機が必要です。次に紹介する「タワー型」の場合は「溶接電源融合型」という形でロボットの中に溶接電源が一体型になっているタイプです。
✔マニピュレータとは:人間の腕のように作業をしてくれる工業用のアーム。溶接ロボットのいわゆる「ロボット」の部分。
ワークの大きさによって選択しよな。
⑵溶接電源融合型ロボット TAWERSシリーズ(WGⅢ、WGHⅢ)
出典:パナソニック
・ロボット自体が溶接をフルコントロール
・アプリの追加で多彩な溶接スタイルへ進化する
・高速+低スパッタ
溶接のスパッタとは?(2020年4月6日追記)
スパッタとは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接現象に定義される用語の一つです。
スパッタは、溶接中に飛散するスラグや金属粒のことで、一般に溶接品質の妨げになるもののことです。
スパッタは、主にアークを熱源とするアーク溶接やガス溶接などの溶融接合(融接)、ろう接(ろう又ははんだを用いて、母材をできるだけ溶融しないでぬれ現象で接合する、ろう付及びはんだ付の総称)において発生します。
出典:溶接用語
スパッタが出てしまうと上からの塗装時にも邪魔になり影響が出ます。
スパッタの付着を防ぐ「スパッタ防止剤」も市販で手に入るモノがあります。
✔溶接電源融合型ロボットとは:ロボットの制御部が溶接パワー回路を直接コントロールすることで、トーチの動作と同期してより緻密な溶接条件コントロールが可能となるメリットがあります。溶接機溶接機のボリューム調整も要らないのでかなりの省人化と時短に繋がります
✔スパッタとは:溶接時に溶接棒(ワイヤー)が溶けて母材に飛び散ったカスのことです【参考】質問!ITmedia
⑶リモートレーザ溶接システムRAPLISS
出典:パナソニック
・ロボット、発振器、ヘッドなどの複数のメーカーをパナソニックに集約できる
・世界初の4kWダイレクト・ダイオード・レーザ溶接ロボットシステム
・条件裕度が広いレーザ溶接の施工技術
・ティーチペンダント(入力コントローラーのようなものです)でどんな条件で溶接するかを入力できる
✔トラブル時の問い合わせ先が一個に絞られてわかりやすいのがメリット。「まずい、故障かも。発振器のメーカーの電話番号は・・・?」がなくなる
✔ダイレクト・ダイオード・レーザ溶接とは:わずかに異なる波長をもった複数のレーザー光線を一点にあつめて照射、溶接する方法。⑴⑵の溶接では溶接ワイヤーを供給して溶接するが、このリモートレーザではワイヤーなどの溶剤を使用しない。
溶接ロボはティーチング費用や導入費用、初めての方はメーカー講習費なんかもかかります。
そして機種もアームの長さから内装・外装タイプなんかもあるので、価格は選ぶタイプによってかなり変わってきます。
さて、今回はパナソニックの溶接ロボット製品ラインナップの特徴について噛み砕いて解説しました。溶接ロボは自動車・航空宇宙産業など多くの分野で活躍が期待されています。特にレーザー光線を熱源としたレーザー溶接は低入熱・高精度・高速加工が可能なので需要が高まってきているようです。
それではまた次回お会いしましょう。
ー悠ー