板金機械

リンクモーションプレスの機構・構造をカンタン解説

アマダ製のリンクモーションプレスのWクランク仕様

 

 

リンクモーションプレス構造とは

リンクモーションプレス 構造
プレス機械の中でも↑の図のような内部構造をしている機種を「リンクモーションプレス」または「リンクプレス」と呼びます。
構造としてはクランクシャフトとメインギアを繋ぐ部分にリンクバーがあり、これによって生まれる偏芯が加工時の無駄な周回を短縮し、生産性を上げてくれます。

■リンクバーで回転運動を偏芯している構造を持つプレス
■生産性が向上する

リンクモーションプレスの特徴とメリット

リンクモーションプレス 特徴
プレス機械は、スライドが下死点に到達するとすぐに下死点を通過し、上死点へと戻る動きが基本です。

悠
通常は常に一定速度の回転運動です。

しかしこのリンク機構によって、リンクモーションプレスでは下死点での加圧時間が少し長くなります。
さらに、上死点までの戻りが速いため、生産時間の短縮にもつながります。

下死点で押さえる時間が長くなると加工時の形状が安定したり、静音性に優れたりとメリットがあります。
金属のスプリングバックをこの下死点での時間でしっかりと押さえ、絞り加工や潰し加工に適している特徴があります。

メリット

■生産時間の時短
■加工時の形状の安定
■ふつうのプレスより加工時の音が静か
■絞り・潰し加工に適している

リンクプレスとナックルプレスの違い

回転運動を往復運動に変える、という点でリンクプレスとよく似た特徴を持つのがナックルプレスです。
中の構造もよく似ていますが、一番の違いは、

【ナックルプレス】
・下死点での押さえ時間が長い
・上死点までの戻り時間は通常

【リンクプレス】
・下死点での押さえ時間が長い
・上死点までの戻り時間も早い

リンクプレスは戻り時間が速くなるため、生産性の面でメリットがあると言えます。
逆に両プレスの違いはほぼこの部分だけです。

まとめ(リンクモーションプレスの長所いろいろ)

アマダ製のリンクモーションプレスのWクランク仕様
↑アマダ製のリンクモーションプレスのWクランク仕様。最新の機種。

今回の記事で紹介したリンクモーションプレス。
前述のようにいくつもの長所があることは理解してもらえたかと思います。

さいきんの機種では、ふつうにリンクモーションプレスとして動き加工するだけではなく、
デジタルネットワーク接続に対応する機種も増えてきています。
稼働状況や不具合を見える化する、というあれです。

とはいえ、汎用プレス機に比べて価格面もかなり高価になりますので、用途に合った選択は必要です。

通常、プレス機の平面制度は、下死点の加圧力が大きく、速度が速いほどより安定して製品を加工することができます。
その点ではリンクモーションプレスの動きや構造が適しており、単純な抜き加工だけではなく絞り加工などの目的におすすめではあります。

また、現在ではこのリンクモーションプレスの特性を網羅的に含んでいる「サーボプレス機」が台頭してきていますので、
比較対象としては外せません。

↓サーボプレスに関してはこちらでまとめてますので参考までに

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