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そもそも溶接とは?【原理と仕組み】
そもそも溶接とは、読んで字のごとく金属同士を溶かして接合することです。
ふつう、鉄なら鉄、アルミならアルミと、おなじ金属同士を溶かして接合します。
溶接の原理は、溶接したい対象を金属が固体から液体になる温度(融点)までもっていき物質同士を溶かし合わせ、
冷えると固体になり2つだったものが1つになり溶接されます。
これが基本的な溶接の基本的なしくみです。
溶接には電気を使ったアーク溶接、
ガスを使ったガス溶接等、使用する溶接材や仕上がりなどで種類があります。
この記事は溶接機でできる溶接そのものの種類や特徴・溶接に使用するガスの種類を解説しています。
溶接機の形状(手動・半自動・溶接ロボット)ごとの種類ではありません。
溶接ロボットについて知りたい方は下記をご覧ください。
溶接機とは
出典:モノタロウ
溶接機とは、先ほどの溶接作業を手動・半自動などで行う機械のことです。
基本的な構造は溶接電源・溶接トーチ・ワイヤ供給装置がワンセットで「溶接機」といいます。
溶接電源には電圧・電流調整のボリュームがついており、このボリュームを回して被溶接材に流す電流の量を調整して溶接します。
また、現在溶接機でできる溶接の種類はアーク溶接・MAG溶接・TIG溶接・MIG溶接・レーザー溶接の5種類。
そしてこれらは機械の形状によって、溶接機・半自動溶接機・溶接ロボットの3種類に分かれています。
■溶接作業を手動・半自動で行う機械のこと
■溶接電源・溶接トーチ・ワイヤ供給装置から成る
■溶接の種類はアーク溶接・MAG・TIG・MIG溶接・レーザー溶接の5種類
■機械の形状によって溶接機・半自動溶接機・溶接ロボットに種類が分かれる
溶接方法による溶接機の種類
アーク溶接機
アーク放電を熱源とする溶接機をアーク溶接機といいます。
アーク溶接は現在国内で最も一般的に使われている溶接方式です。
また、アーク溶接にはたくさん種類があり、
被覆アーク溶接・MAG溶接・TIG溶接・MIG溶接などを総称して「アーク溶接機」といいます。
こちらも順に解説していきます。
被覆アーク溶接機
アーク放電での溶接の一種です。
「溶接」ときいてまず最初にイメージするのがこちらの溶接方法だと思います。
金属の心線に”フラックス”という被覆材を被せた溶接棒を使用して、アーク溶接を行う溶接機です。
電源から伸びたホルダーに溶接棒を挟んだものを鉄に触れさせるだけです。
これをペンで線を引くように手動で動かして溶接していきます。
写真は100V/200V兼用で使用できる比較的小型のアーク溶接機です。
溶接棒と本体さえあれば場所を選ばず溶接できるのがメリットですが、
初心者がアーク溶接をするとビードができて仕上がりがガタガタになってしまいます。
アーク溶接とは、アーク放電を利用して行う溶接の総称です。
なので、MAG溶接、MIG溶接、TIG溶接も使用するシールドガスの違いだけで
結局のところこれらすべてまとめて”アーク溶接”です。
MAG溶接機
炭酸ガスやアルゴンガスなどのガスを混ぜてシールドガスとして利用する溶接がマグ(MAG)溶接です。これもアーク溶接の一種です。
マグ溶接は被覆アーク溶接と比較して初心者でもキレイに溶接ができるメリットがあります。
また、溶接用トーチをロボットに装着して溶接工程の自動化にも適しているため人気です。
唯一、MAG溶接機の弱点が風に弱い点です。
シールドガスが素材の中に気泡になって入ってしまう(ブローホール)ため、
屋外で使いたい方はMAG溶接機は避けた方が良いかもしれません。
だいたいの工場は入り口がシャッターになっていることが多いので樹脂製の工場用カーテンを付けるか、
シャッターを少し閉めて換気をしながら溶接作業をすると対策できます。
MIG溶接機
これは正直言って、前述のMAG溶接機とほぼ同じと言っても過言ではありません。
唯一の違いとしては、MAG溶接機はアルゴンガス80%と炭酸ガス20%を混合したガスを使うのに対し、
MIG溶接はアルゴンガスを単体で使用します。
TIG溶接機
アルゴンガスやヘリウムガスといったガスをシールドガスに利用する溶接機です。
タングステンを放電用電極として利用し、タングステン自体は消耗せず別で溶接棒を溶かして溶接します。
こちらも同じくアーク溶接の一種です。
主な用途としてはステンレスやアルミなどの比較的薄い金属の溶接に適しています。
溶接ワイヤが自動で供給される機種が一般的で「半自動溶接」とも呼ばれます。
火花が出ず、静かな音がメリットです。
レーザー溶接機
レーザー光線を母材に照射して金属を溶かしながら溶接する溶接機がレーザー溶接機です。
板金機械の代表的なレーザー加工機と同じように、
レーザー発振器・集光レンズ・アシストガスの三つで構成されています。
アーク溶接と比較して瞬間的に高温になるため作業時間も短縮できるメリットがあります。
デメリットは表面反射が強い母材の場合はうまくレーザー照射ができず不向きといった点です。
また最近では工業用プロ仕様のものでなく、
家庭で使えるDIY用品としても小型のレーザー溶接機が発売されています。
ハンドメイドアクセサリー作りや手芸など、金銀製品の溶接などにおすすめなのはこちらです。
まとめ
今回は溶接機の種類について解説しました。
使用するガスや機械の種類で大きく用途や対応できる金属が変わってくるので十分吟味してから購入するようにしましょう。
溶接機の価格は機能によって様々ですが、昔に比べて現在は全体的な価格帯も安くなってきている印象です。
また、大手産業機器メーカーだけでなく、サードパーティー的なメーカーの参入によって低価格・多機能な溶接機も登場しています。
保障やメンテの面でやはり安心なのは大手のパナソニックやダイヘンなどのメーカーですが、
家庭用やちょい使いでの利用なら安価な溶接機でも十分な印象です。
この記事がご自身の用途に最適な溶接機を探す参考になれば幸いです。