この記事では、プレス機械と併用して使用される設備「コイルクレードル」について解説します。
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コイルクレードルとは
出典:アマダオリイ
コイルクレードルとは、プレス機械の周辺機器のひとつです。
プレス加工前のコイル材をストックしておき、巻きほぐしながらコイル材を加工部分に供給する役割を持つ供給装置です。
上の図のような形状が一般的で、本体にコイル材を乗せて使用します。
現在複数のメーカーが製造販売しており、最大コイル重量、最大板幅、最大板厚み、送り出しスピードなどで機械の大きさやランクを選定します。
出典:豊鋼材工業株式会社
上記のようなコイルを縦方向にクレーンや手でそのまま転がしたりして載せて、先端のピンチロールで引きのばしながら送り出します。
このコイルクレードル、昔はピンチロールが付いておらずコイルを乗せる台のみの機械も多かったんですが、最近はピンチロール付きのものや、レベラー付きのものがほとんどです。
呼び方は「レベラー付きクレードル」や、「ピンチロール付きクレードル」など、そのままの呼称です。
ピンチロールとレベラーの違い
ピンチロール→ワークを挟んだ上下1本ずつのロールを回転させ、板を送り出す。板の反りの矯正はできない
レベラー→上下複数のロールでワークを送り出す。上下のロール間のクリアランスを調整し、板をロールで挟む力で板の反りを矯正しながら送っていく。
同じような用途のプレス付帯設備はこのほかにも複数の種類があります。
コイルクレードルのメリット・デメリット
コイルクレードルのメリットはレベラーやレベラーフィーダーと併用してコイル材を送り出せる点です。
レベラーフィーダー側で送り速度を設定・入力さえしておけば、クレードルにコイルをセットしておくだけなので使い方はカンタンです。
またコイル材の内側をアームで保持するアンコイラーとは違って、クレードルはコイル材を乗せておくだけなので出し入れが楽です。
頻繁にコイル材を入れ替える加工にはクレードルが適しています。
デメリットは場所を取ることです。
どうしても構造上、横長なのでスペースを広くとる必要があります。
アンコイラーだと設置面積は少ないため省スペース性で劣ります。
また、クレードル形状の設備の場合、板材表面がクレードル設備自体に触れている状態で回転(図参照)するため、クレードル本体のワークに接触する部分に傷などが入ってしまうと、ワーク自体にも筋や傷が入る場合があります。
その点ではアンコイラーだと傷がつくデメリットが無いため優位です。
出典:アイダエンジニアリング
これはレベラー一体型仕様ですがクレードルに比べて省スペースです。
足の高さも少しはボルトで調整可能なので、ミックなんかで移動する際はかんたんなので便利です。
【メリット】
コイル材の出し入れが楽
【デメリット】
場所を取ってしまう
クレードル側が損傷するとコイル材表面も傷ついてしまう危険性あり
コイルクレードルを扱うおすすめメーカー3選
株式会社ユタニ
大阪府八尾市にある、コイル加工ラインの総合的なメーカーです。
アイダエンジニアリング
プレス機械のメーカーでプレス以外はレベラーフィーダーなどがメインです。
アマダオリイ
こちらもプレス機械で有名なアマダのグループです。コイル材供給機器も豊富に扱っています。
クレードルなどの付帯設備を購入する場合はプレス機械を購入時にまとめて相談するのが一番確実です。
設置等は購入すればメーカーが有償で実施してくれるところがほとんどなので、接続方法などがわからなくても安心です。
まとめ
今回はプレスの周辺機器であるコイルクレードルについて解説しました。
現在ではレベラーフィーダーが主流になりつつありますが、クレードルもよく製造現場では見かける設備です。
レベラー機能付き、ピンチロールのみの仕様など種類がありますので、選定の際には用途の違いに注意しましょう。