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~【アマダのサーボプレス】超わかりやすくSDEシリーズの9つのモーションまとめ~
画像出典元:アマダマシンツールHP(http://www.amt.amada.co.jp/products/catalog/catalog.php?code=E036)
というわけで、今回はアマダのサーボモーターSDEシリーズの最大の特徴である「9つのモーション」を機械屋目線で解説します!
サーボプレスとは
出典:アマダ
そもそものはなしになるのですでにご存じの方は読み飛ばしていただいて大丈夫です。
ひとことで言うと”サーボモーターで駆動するプレス”のことです。
1990年代にサーボプレスが登場するまでのクラッチを使用したプレスは
速度の調整ができないのがふつうだったんですね。
しかしサーボモーターが市場に登場することにより
プレスの加圧の【速さ】【位置】【力の量】を数値化して制御できるようになりました。
これによって
・複雑な金型での加工時にある部分に偏って負荷がかかる「焼き付き不良」がなくなった
→仕方なく遅いスピードで加工していたのが「速いスピードで降りて加工する瞬間だけめっちゃ丁寧」な加工に!
・難加工材に対応できるようになった
→難加工材=自動車の軽量化に伴い普及しているハイテン(高張力鋼板)やアルミ・チタン・マグネシウム合金なんかの加工が可能に!
・精度、品質の向上、騒音軽減、省エネ
などなど、数多くのメリットが出てきました。
自動車産業の「軽量化」という現代の時流からの影響も大きく、
ニーズは著しく高まってきているプレスなのです。
■主電動機にサーボモーターを採用しているプレスが通称”サーボプレス”
■加工素材に合わせたモーションを選択できるので不良品が少なく精度が良い
■加工していない時間は素早く上死点に戻るので時短のメリットもある
■ふつうのプレスに比べ省エネ
■価格帯は一般的なプレス機械よりかなり高額
アマダ製のサーボプレス・SDEシリーズとは
低回転・高トルクなサーボモーターを使った、
数あるプレスメーカーの中でも老舗の大手プレスメーカーであるアマダから発売されているのがこのSDEシリーズ。
後で説明する「パルス成形」を業界で初めて可能にしたシリーズです。
アマダは近年「ワシノ」グループと合併したことでも話題になりました。
そんなSDEシリーズのボディはアマダのイメージカラーの赤黒で目立つ、誰が見ても一発でメーカーが分かる外観デザインになっています。
このシリーズは大きく分けると5種類の加圧能力がラインナップされており、
80t,110t,150t,200t,300tと機種ラインナップがあります。
アマダから出ているサーボ駆動ではないクランクプレスのラインナップが25tや45tがあるのに対しこちらのSDEシリーズはやや大型といったところでしょうか。
まあ動きが多様化する点とサーボプレスで加工するものなので、
必然的にボディや能力が大きくなるのは当たり前ともいえます。
それでは、このアマダサーボプレスSDEシリーズのモーションを順番に見ていきましょう。
■板金機械メーカーのアマダから発売されているサーボプレスのシリーズ
■80T~300Tまでのラインナップがある
■加工用途に最適なモーション・ストロークの条件設定ができるため便利
【アマダのサーボプレス9つのモーション】
画像出典元:アマダマシンツールHP(http://www.amt.amada.co.jp/products/catalog/catalog.php?code=E036)
サーボプレスの特筆すべきポイントとして「様々なモーションで加工可能」という点が挙げられます。
上記のように、通常のクランクモーションに加えてリンクモーション、
振り子モーション、パルスモーションなどの「動き」のパターンを加工内容に応じて選択できます。
これにより完成品の”割れ”や過負荷による金型の破損をはじめ、様々な不具合を防ぎプレスも守り精度を上げる、まさにいいことづくしなのです。
アマダサーボプレスSDEシリーズ上の画像に記載されている9つのモーションが選択可能になります。
【クランクモーション】
クランクモーションはもっとも一般的なプレスの動きです。
主に鉄板の抜きや単純な構造の成形を【量産】する際に利用します。
非サーボモーターのクランクプレスでは電動機(モーター)に取り付けられたベルトとの連動する力でクランク軸というプレス機本体を縦に伸びた軸でラム(スライドや上側の金型が付いた上下する部分)を上下させて加圧します。
サーボプレスではこの動きを電気制御で繰り出しますが、特にクランク一本で動いているプレスと圧力等に差異はありません。
このクランクモーションが基本となり、クランクの動きから逆転して戻って正転する(振り子のような動き)など変化を持たせられるのがサーボプレスの特徴・メリットです。
ちなみに↑の図は筆者の手書きです。
【リンクモーション】
通常速度は遅く、下死点での加圧が強くなるモーション。
絞り加工の生産性が高いです。
【振り子モーション】
文字通り振り子のように左右に動きます。
素材を送り装置で自動送りして量産する加工、
順送加工や製品をインデックスしながら1つずつパンチ穴あけ加工をする際に用いられます。
ショートストロークで小刻みな繰り返しモーションにより大量生産や細かい箇所の加工を繰り返す際にポテンシャルを最大限に発揮します。
振り子回数も任意に設定でき、終わるとスライドは上死点へ自動で戻ります。
【ソフトモーション】
動きは通常のクランクモーションのソフトタッチバージョンとイメージしてください。
金型・素材が薄かったり複雑で破損しやすい加工でも、ソフトにかつしっかりとした荷重をかけ、ソフトにリターンしていきます。
低騒音なので工場の騒音対策にも活用しているユーザー様もあります。
じっさい加工しているところを見ましたが本当に静かです。
中規模程度の工場で使っていると他の機械の音でプレスの音が聞こえないレベルです。
低回転なのに高トルクなサーボプレスならではの動きです。
【パルス1モーション】
細かい振動をグン・グン・グン・グン・・・
と与えながら加圧できます。
張り出し成形、絞り成型に使われるのがこちらのパルスモーションです。
一発でダン!!と下死点までお降り切らないため、緩やかなカーブの絞りが可能になります。
【パルス2モーション】
細かい速度変動を与えながらスライドが降りていきます。
簡単に言うと、
「パルス1モーションのストライドが大きくなったバージョン」
「パルス1モーションが子供の歩幅でゴールまで行くのに対しパルス2モーションは大人の歩幅でゴールへ進むイメージ」です。
上記のパルス1モーションよりも若干ですが大きめの微動を繰り返して下死点まで到達します。
しごきやシェービング加工に用いられています。
【プログラムモーション】
1サイクル(下がって上がるまで)に20もの加圧ポイントを設定できるモーションです。
完成品が何段にもなっている多段成型(豪華なウェディングケーキみたいな形を想像してみてください)に最適です。
これができるだけでも加工への付加価値がアピールできます。
サーボプレスは他のプレスと違って明らかに「サーボだからできること」が多いのでクライアントへのわかりやすいPRにもなることもメリットの一つです。
【コイニングモーション】
同じ幅での加圧を繰り返すモーションです。
つぶし加工に用いられます。
製品の平坦度が向上するメリットがあります。
【繰り返しモーション】
スライドが高い位置で上下するため、特殊な高さの加工にも対応できます。
この高さ調整はスライドの調整で可能なのですがやはり限りがあるものなので、金型が特殊で高いものを使用したいといったケースがあります。
その場合どうしても加工したければ「口開きの広い大きな能力のプレス」を新規で探さなければならなかったりといった手間や出費も防げます。
サーボプレスの加工動画
じっさいにサーボプレスの加工を動画で見るとイメージしやすいです。
まとめ
今回は板金機械メーカーのアマダが発売しているサーボプレス”SDEシリーズ”の9つの加工モーションについて特徴を解説しました。
数年前はメカ式・クランクプレスの進化系と言えばリンクプレスが有名でしたが、そのリンクプレスの加工も網羅しさらに進化したのがサーボプレスという位置づけになります。
◆静音性・生産性が大幅にアップ!
◆サーボプレスでしか出来ない動き・加工が可能!
◆加工の自由度が格段に上がる!
特にアマダのプレス機械はプレスの周辺機器も種類が豊富でシステムアップも容易にできるため、サーボプレスの良さを最大限に引き出せると思います。
今回紹介したサーボプレスですが、オススメのメーカーは他にもあります。
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