「機械屋で売れた機械はじっさいどのようにしてお客様の工場へ据え付けられるのか?!」
について順を追って説明します。
世の中には産業用機械、切削機械、板金鍛圧機械、ものづくりを支える様々な機械があります。
機械屋の扱う商材(機械・工具)も大小さまざまです。
ドリル研磨機や小型バイスなどの手で運べる小さなサイズの機械や、プレス・マシニングセンタ・シャーリングやベンダーなどの床上式クレーンで吊り上げてユニック車で降ろす必要がある大きなものまで。
でも意外と実際に工場でバリバリ動いている機械設備がどのような流れで、どういうふうにその場所に据え付けられるのかは、実際にその場で機械の据え付け作業に関わらないと知る機会も少ないようです。
私たちが売れた機械の据え付けに現場へ行くと、工場で作業をしている人たち(機械屋からすればお客様にあたります)が興味津々で見物されていることもしばしばです。
なので今回は機械屋で売約された機械がじっさいにどんな流れで据え付けられるのかをできるだけわかりやすく書いていこうと思います。
業者によってやり方は様々(その違いを見たり気づいたりするのもまた面白いです)なので一概には言えない部分は多々ありますが、その中でも王道の、一番オーソドックスな機械据え付けの流れを説明します。
コンテンツ
機械が重量運搬されて工場に据え付けられるまで
機械運送のプロ重量運搬業者と打ち合わせ
中古機械商社などで機械が売れた場合、お客様の工場への運搬が必要になってきます。
そこで活躍するのが、
機械運送・据え付けのプロである重量屋です。
機械屋のトラックやお客様のトラックで運搬が容易にできる機械はラクちんなのですが、一般的には重量屋に運賃と据え付け費用を交渉して打ち合わせをします。
重量屋はそれぞれ運搬する機械の種類によって得意分野があったり、
持ってるトレーラーやユニック車の積載重量、使う道具や人数、仕事の空き状況など様々な特性があります。
じっさいに据え付ける機械によって最適な重量屋を選ぶのも機械出荷・据え付けのポイントです。
普段から会社ぐるみで仲良くしてるところであれば、多少の無理も聞いてくれたりするのでそこを選ぶ時もあります
(得意先の社長が思い付きで「あ!できたらこの機械もう数メートル奥にずらせる??」とか聞いてこられる場合もあります)
重量運搬業者とは
機械業界での重量運搬業者とは”重量屋”とも呼ばれる工作機械や板金機械などの設備機械を、納入する工場まで運搬して安全に据付してくれる業者さんのことです。
機械などの大型の荷物はそもそも運搬できる大きなトレーラーを持っていなかったり、機械を吊り上げて車に積み込みするのにもノウハウが無い初心者がやると非常に危険です。
なので、工作機械などの工場設備を搬入する際は重量物運搬のプロである重量屋さんに依頼しましょう。
重量運搬の下見時のポイント
お客様が購入した機械がじっさいに工場へ降ろす際にはまずお客様の工場の入り口をしっかりと確認します。
【チェックポイント】
・寸法的に余裕があるか
・入口シャッターの高さは十分か
・地面にひび割れや段差がないか
・工場入り口の前の道路の交通量・道幅は?
・ユニックで吊る場合は邪魔になる電線がないか
ここら辺のポイントを実際に重量屋とともに足を運んで確認します。
もちろん、そもそもの機械寸法がお客様工場入り口を通るかどうか問題は、
事前に機械購入決定前に確認はしています。
ですが実際に行ってみないとわからない部分が現場では多く、この「下見に行って自分の目で確認する」という作業は非常に重要なポイントです。
私の会社でも、昔から付き合いのあるお客様なので下見に行かず
Googleマップの写真のみを手掛かりに機械を納入した際に実際の入り口が改装されていて寸法が変わってしまっていたケースがありました。。。
さらにここで気をつけなければならないのは、
機械の寸法分ジャストのスペースがあってもすんなり入らないという点です。
機械据え付けの際は工場に天井クレーンがあれば楽なのですが、
ない場合は様々な機械運搬用の器具を使って「工場の置き場へと引っ張り込む」イメージになります。
そこで重量屋はこのようなウレタンローラーが付いた器具、通称「戦車」と呼ばれるものを使ったりします。
画像出典元:https://www.monotaro.com/g/00339109/
スピードローラ(ウレタンダブルタイプ・低床型)価格は5~10万円ほど。
機械移設の際はこの戦車の高さにも注意しなければいけません。
戦車の高さも計算に入れて入り口や据え付け場所までの高さが十分通るのかを考えます。
運搬後の据え付け場所を確認
機械を実際に据え付ける場所を確認します。
【チェックポイント】
・機械置場所のスペースは十分か?
・降ろし道具の確認
・電気、エア配管の位置関係
まずは機械寸法が十分に入る位置なのか・実際に加工するときの機械の向きなんかを
チェックします。
機械によっては操作ボックスや制御盤、配管などが寸法よりも外側に出っ張るケースがあるので
そこも考慮します。
そして重要なのが降ろし道具の確認。
天井クレーンで吊って置くのかウィンチで引っ張り込むのか、
引っ張る場合はチェンブロックをかけられる頑丈な柱が付近にあるか?
実際に機械搬入するまでをイメージしてチェックします。
また機械屋の場合は据え付けた後の配線や配管の仕上げがメインの仕事だったりします。
重量運搬が終わったと同時にスムーズに配管がつなげられるように、
・工場の三相電源がどこにあるのか?
・エア配管の口金は何分のサイズか?
このあたりをチェックして機械搬入の当日に用意して持ってきます。
と今回はここまでで機械搬入の「下見」項目はあらかた完了となります。
次回の記事では機械の
◆積み下ろし
・積み込み
・降ろし
◆据え付け
・レベル出し
・配線
について書いていきたいと思います。