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初心者でもわかる【使用するガス別】溶接の種類と違い特徴5つ
こんにちは、機械屋です。
本日は【溶接の種類】について特徴や違いを、
予備知識がない初心者にもわかりやすく説明していきたいと思います。
今回説明するのは【溶接機】ではなく【溶接】の種類についてです。
【溶接機】の種類は溶接の種類+機械の種類(手動や半自動など)
【溶接】の種類は使用するガスで特徴が大きく分かれます。
逆に言えば、ただ一点使用するガスさえ分かればその溶接方法がどの金属素材に適しているのか?
どういった特徴があるのかが大まかにわかってしまう。
ということです。
それではさっそく使用するガスのちがいから溶接の種類を大きく分けて5つ
見ていきましょう。
■金属と金属を電流によるアークの力で接合するものづくりの技術
■溶接に使用するガスによって種類が分かれる
■用途に合った溶接を選ぶと良い
MIG溶接の特徴
画像引用元:https://industrial.panasonic.com/jp/products/fa-welding/arc-welding/mig
◆シールドガスに【不活性ガス】を使用
◆不活性ガス=アルゴンまたはヘリウム
◆アルゴンガスは高価
【特徴】
不活性ガスを使用とあるが、ソリッドワイヤと不活性ガス100%の組み合わせだと
アークが不安定になる。
アークが不安定になるともちろん仕上がりが汚くなってしまうので、
アークを安定させるために2%ほど酸素を混合して溶接するのが一般的。
基本的には半自動(ワイヤーが自動供給されるタイプ)が一般的。
また、MIG溶接は瞬間的に母材(溶接対象)とワイヤを接合することができるため、
作業時間が短い。
なのでちょこっとだけ溶接したいときの「仮止め」や「コーナー部分」に適している。
【メリット】
アルミニウム合金やステンレス銅、耐熱合金銅を溶接するならこれ。
特徴としては仕上がりが美しく、溶接の継ぎ目が目立たないのが特徴。
【デメリット】
スパッターが飛ぶ。
アルゴンガスが高い。溶け込みが薄い。
3000リッターで8000~13000円程度。
アルゴンガス価格参考URL↓
http://daitoh-mg.jp/standard/laboratory.html
https://store.shopping.yahoo.co.jp/santec1949/f-ar-30.html?sc_e=slga_pla
【用途】
高いので比較的高級品であるアルミニウム合金、ステンレス銅に使用。
MAG溶接の特徴
画像出典元:https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223009092254/
◆シールドガスに【活性ガス】を使用
◆不活性ガス(アルゴン・ヘリウム)と安価な炭酸ガスを混ぜて使用
◆アルミなど非鉄金属は溶接不可
【特徴】
MIG溶接で使うアルゴンやヘリウムに安い炭酸ガスを混合させて使う。
この不活性ガス(アルゴン・ヘリウム)と炭酸ガスの組み合わせは強力な上に溶け込みも◎なのでMIG溶接の弱点をカバーできる。
ただし、炭酸ガスが化学反応を起こすので、アルミニウムなどの非鉄金属は不可。
建築鉄工・造船・重機械なんかの様々な分野で利用されている。
【メリット】
ガスの威力が安定している。
溶け込みが深いので溶接後の堅牢度は高い。
【デメリット】
アルミなどの非鉄金属はNG
CO2溶接
◆炭酸ガス(CO2)を利用
◆スパッタが多くなる(外観が悪くなる)
◆溶け込みが深い
◆アルミなどの非鉄金属は不可
【特徴】
シールドガスに二酸化炭素のみをしようする溶接で、
不活性ガスを使った上記2パターンの溶接よりもスパッタが多くなり、
仕上がりの見た目が悪くなってしまう。
MAG溶接と同様炭酸ガスが化学反応するためアルミなどの非鉄金属は溶接できない。
溶け込みが深い特徴を持っているので、強度が欲しいときは
不活性ガスを使用するべきタイミングでもあえて炭酸ガスで強度を出していることもある。
【メリット】
アークが細いから熱エネルギーが集中し溶け込みが深くなる。
ガスが安価
【デメリット】
スパッタが多くなる→仕上がりの外観が悪くなる。
非鉄金属は溶接不可
セルフシールドアーク溶接
※別名ノンガス溶接・被覆アーク溶接
◆ガスを利用しない
◆フラックスを固めた溶接ワイヤーを使う
◆溶接中に溶け出した部分がシールドとなり減っていく
【特徴】
よく溶接してる工場をのぞくと中で職人さんが花飛ばしながらバチバチやっているのがこれ。
他の溶接方法では溶接する部分にガスでシールドを作ってアークさせていますが、このセルフシールド溶接は違います。
溶接棒自体にフラックスが練りこんであり、そこがアークすると同時に溶けていきシールドの役割を果たすというもの。
ガスいらずなのでランニングコストも安く、溶接機本体と溶接棒、電源さえあれば溶接作業ができるというなんともシンプルでカンタンな溶接方法です。
個の場合は安かろう悪かろうまでは行かないですが仕上がりはあまり他の溶接方法と比較して美しくはありません。
さらには溶接のあとにフラックスの除去が必要で意外とこれがめんどくさいです。
【メリット】
屋外での溶接に適している。
ガス不要(溶接棒自体がシールドの役割)
とにかく安い。
【デメリット】
溶接棒を扱う感覚とスキルが若干必要
仕上がりが美しくない
溶接後にフラックスの除去が必要で手間がかかる
TIG溶接
◆電極にタングステンを使用
◆非溶極式(電極が溶けない方式)の溶接方法
◆溶接部をハッキリと見ながらできる
【特徴】
直流と交流のTIG溶接があり、
直流→ステンレスの溶接
交流→アルミの溶接
に利用します。
上記にあるこれまでの溶接方法で「アルミ不可」と書かれていて「じゃあどの溶接方法で溶接すればいいんだろう?」と思った方もいるかと思いますが、これです。交流TIG溶接です。
また交流・直流の切り替えができて両方対応できる溶接機も販売されています。この二刀流のTIG溶接機を一台持っていれば一般的なほとんどの金属が溶接できるので個人的にはかなりおススメです。
ちなみにおすすめはPanasonic製のこちら↓
ちなみにHPに飛んでもらうとわかるのですが
フルデジタル・インバータ・サイリスタと3つの制御方式があります。
こちらはふつうに使用している分にはぶっちゃけると大差はないようです。
【メリット】
安定性・仕上がりがキレイ
溶接部を見ながらできる
見た目が重要なクルマ・バイクに最適
【まとめ】
ほんとうに簡単ではありますが、溶接タイプ別の特徴や違いを非常に簡潔に投稿してみました。